元高専生の呟き

~DAREMO MINAI BLOG~

岡山大学 工学部 情報系学科 編入体験記【令和3年度】

目次

 

はじめに

岡山大学 工学部 情報系学科(令和3年度)の第3年次編入学試験を受験しました。

岡山大学工学部の編入試験についての情報(特に情報系学科)は他の大学に比べて少ないです。今後受験する人たちの参考になればと思い、この度書かせていただきます。

 

席次・TOEICなど

[出身高専] 偏差値60程度の高専(情報系)

[学科内席次]

2年次:8位

3年次:8位

4年次:7位

※1年次は学科混合

[TOEIC]

初期(3年11月):IP 365(L:175, R:190)

最終(4年1月):公開 660(L:335, R:325)

 

席次は学年末のものです。中間なども含めると5位~8位を行ったり来たりという感じで、テストの平均点はだいたい90~92に収まる感じでした(ギリ90のるのが多め)。

 

志望理由

中四国では名のある大学だったから

・親の期待を満たせる大学だった

・身内に岡山大学出身(学部は違う)がいるため 好印象だった

・試験科目、日程がちょうどよかった

 

志望理由はだいたいこのような感じです。広島大学情報科学部と悩みましたがコロナウイルスによる試験延期で日程が被ったのと、併願校の筑波大学まで確約書が間に合わないという理由で岡山大学を選びました。

 

併願校 

併願校は、某旧帝大(工学部非情報系)と筑波大学(情報学群 情報科学類)です(共に不合格)。岡山大学は第3志望で滑り止めでした。岡大は科目・日程(例年の日程)の都合のよさから筑波・横国志望者が受験する可能性が高いので注意が必要です。

 

試験内容

試験科目は数学・英語・専門・面接です。数英専(筆記)は一つにまとまっていて午前中にあり、試験時間は2時間です。面接は休憩をはさんだ後、午後からあり、1人10分程度です。筆記の出題範囲については後述します。

入試方法には一般入試と推薦入試があります。岡大は特殊で、一般・推薦が同じ日にあり、全く同じ試験を受けます。違うのはそれぞれの配点で、以下のような配点となっています。

[一般] 書類審査:100点, 筆記試験:200点, 面接:100点 (400点満点)

[推薦] 書類審査:200点, 筆記試験:100点, 面接:100点 (400点満点)

 

僕は一般で受けました。推薦の資格やこのへんの事は募集要項に書いてあるので各自で見てみてください。

 

試験前日

ホテルは岡山駅近くの三井ガーデンホテル岡山というところに泊まりました。チェックインした後は岡大に行って学内を散策したり、試験場所の確認をしていました。敷地が地元の国立大学の4倍くらいあって驚きました(笑)。1つ前に受けた大学はオンライン試験でしたが、現地受験はやはりテンション上がります。

夜は数学の公式の確認をしたぐらいでほとんど勉強しませんでした。というかやる気でませんでした。受験あるあるだと思います(笑)。まだ面接で喋る志望動機を考えていなったので、そっちの方を寝る直前まで考えていました。前日の夜は少し緊張します。

 

試験当日

親と来ていたので寝坊の心配はなかったですが、問題なく起きれました。大学までは同じクラスの友達と駅で待ち合わせをしてバスで行きました。バス停には同じく岡大受験者の人たちがたくさんいました。早めに並んでおくことをお勧めします。

面接があるので当たり前ですが服装はスーツです。1人ぐらいは私服でくるやついるかな?と思いましたが流石にいませんでした(笑)。

集合場所につくと志望学科ごとに並ばせられて、そのあと試験会場に移動させられました。他の科はわかりませんが情報系学科は一般が20人、推薦が5人くらいいました(辞退者を含めると一般25人くらい)。思ってたより多かったのでビックリしましたが自信があったので落ち着いて試験に挑めました。

試験後、問題用紙は回収されました。大学側も過去問を公開してないので、岡大の過去問の情報はほとんど出回りません。受験を考えている人は受けた人に聞きましょう。

 

以下、試験内容です。著作権のこともあると思うので具体的な問題はあまり載せません。

 

[数学]

問1:簡単な固有値固有ベクトルの問題

問2:cosのマクローリン展開、2変数関数の1次偏導関数

問3:簡単な重積分、広義積分

 

今年の数学の問題はすべて教科書問レベルで、徹底研究をやった人であれば簡単に10割とれる問題でした。cosのマクローリン展開で第n項の(-1)^nをつけ忘れていたので出来は9割くらいです。ちなみにこの問題、問題文では(e^ix + e^-ix)/2のx=0におけるテイラー展開と書かれていましたが、何故かcosと気づかずそのまま解いてしまいました。複素解析の勉強をしてた身としては、(-1)^nのつけ忘れよりショックです。

 

[専門]

問1:論理回路に関する問題

問2:有効数字、浮動小数点数の誤差に関する問題

問3:ハッシュ法に関する問題

 

専門も全部基礎的な問題で簡単でした。アルゴリズムの問題もコードを書くことはなく、すべて説明を書く問題でした。例年、情報理論のハフマン符号化あたりが出ているみたいなので少しだけ対策していましたが、それも今年は出ませんでした。情報理論の対策はほぼしてなかったので個人的にはラッキーでした(笑)。有効数字の問題を多分間違えたので、出来は8割くらいです。

 

[英語]

長文問題で、何かの物語の一部(忘れました)からの出題でした。問題構成は和訳3つ、前置詞穴埋め2つ、語句を答える問題1つでした。前置詞穴埋めは4つくらい選択肢がありました。語句を答える問題は、「下線部がさすものを本文中から5語で答えよ」みたいな問題でした。

今年の試験では間違いなく英語が1番難しく、ここが出来たかどうかで合否が決まるような感じでした。僕の場合、受験した旧帝大に英語の試験があり、十分対策出来ていたので出来は9~10割くらいでした。倒置のような難しい構文はなかったと思いますが、受験英語ということでやはり1文1文は長いです(2~3行くらい)。語句注かなり多めで基礎的な単語以外はだいたい書いてありました。

余談ですが、「樟脳」という単語がでてきて脳の障害のイメージで解釈しましたが全然違いました(笑)。「クスノキから採った、芳香のある揮発性の白い半透明の結晶」らしいです。

 

[面接]

面接は試験後休憩をはさんで午後から始まりました。面接室が2つあり、受験番号の最初と最後から平行してスタートする感じです。僕は受験番号が真ん中あたりで1番最後でした。面接官は2人いて、雰囲気は非常にラフな感じで圧迫感は全然ありませんでした。以下に聞かれた質問内容です。

 

・なぜ岡山大学を志望したか

・苦手な科目はあるか

・数学、英語は得意か

・留学についてどうか

・研究室について調べたか

・使えるプログラミング言語はあるか

・卒業後の進路について

・何か自己アピールはあるか

・併願校と志望順(合否に関係なし)

 

他にも志望動機で喋った内容について何個か質問されました。僕の場合、卒研の事は聞かれませんでした。あと、深く突っ込まれるようなこともなかったです。岡山大学は他大からや非情報系の人たちも受ける人が一定数いると思うので、情報系の学生は好印象を与えることができると思います。

友達は別の面接室で受けていて、「高専を選んだ理由」や「今まで作ったプログラムで一番凄いもの」を聞かれたそうです。

ただ、正直な感想としては、面接で差はほとんどつかないと思いました。ほとんどの受験者は8割以上出来ていると思います。

予定では13:00~17:00だったのですが15:00には終わりました。

 

合否結果

合格でした。自信はありましたが、合格発表の前日からは流石に緊張していたので合格出来て本当に良かったです。今年の情報系学科の合格者は、一般5人、推薦0人でした。僕の予想では8~10人合格で倍率3倍くらいになると思ってましたが、バリバリ落とされて倍率5倍でした(汗)。

推薦0人は驚きましたが僕の推測では、筆記試験の配点が低かったのが逆に響いたんじゃないかと思っています。

 

【追記 2021/5/1】

岡山大学の情報系学科は一般入試の定員が60人のため、編入試験の合格者数は最大で5人の可能性が高いです。

参考までに工学部の定員を以下に載せておきます。

 

機械システム系学科:160人

電気通信系学科:100人

情報系学科:60人

化学生命系学科:140人

 

【追記 2022/6/3】

2021年度に行われた編入試験では、推薦2人、一般8人の合格でしたので、合格人数が決まってるのではなく、ボーダーのようなものがあるのかもしれないですね。

 

受験対策など

正直、岡大の情報系学科は出題範囲が謎です。今年の数学は線形代数微積分でしたが、過去には確率がでてた噂をきいたり、2年前ではフーリエ変換やベクトル空間がでてたみたいです。難易度もかなり差があり、2年前の固有値固有ベクトルを求める問題では固有値に根号が含まれていてミスを多発しそうな問題でした。微積分、線形代数の他にも、確率、ラプラス変換フーリエ級数フーリエ変換の勉強をしておくと安心だと思います。参考書は徹底研究、過去問特訓あたりでいいと思います。

英語は鉄壁、ポレポレを使っていました。これは旧帝対策で使用してたので間違いなくオーバーワークになると思います。単語帳は学校で使っているものでいいと思います。英文解釈本はどれを使えばいいか正直わかりません。ポレポレを使えば間違いなく無双できると思います。

専門は情報基礎とだけ書かれており、ここもよくわかりません。よく出題されるのは、論理回路情報理論アルゴリズムあたりだと思います。有効数字や誤差の問題が出たのは少し驚きました。対策として僕は授業で使った参考書を使いました。論理回路は「論理回路入門 第3版」で、論理式⇔論理回路の変換や論理式の簡略化が出来ればいいと思います。

アルゴリズム対策は「定本Cプログラマのためのアルゴリズムとデータ構造」を使っていました。こちらはどの辺まで勉強しておけば良いかよくわかりません。僕の場合、岡大対策というよりも筑波対策で使っていたのでほとんどやりました。今年は説明だけ書く問題でしたが、過去にはたしかコードを書くような問題もでていたと思うので気を付けてください。

情報理論に関しては、ほとんど勉強していないので何とも言えないですが、符号化、エントロピーあたりをやっていました。

このほかにも基本情報技術者(FE)の参考書もやっておくといいかもしれません(ビット演算、誤差など)。

 

上記のように岡山大学の筆記試験は毎年毎年出題範囲や難易度が違います。今年はこうだからといって来年もこうだ、とは思わないようにしっかり対策しておきましょう。

 

おわりに

編入試験は情報戦とよく言われます。受験を考えている人はなるべく早く情報を集めて対策しましょう。また、国公立を複数受験できるという編入試験の特性上、第1志望にしている人もいれば滑り止めで受ける人もいます。油断しないようにしましょう。今後受験する人たちの成功を祈っています。

 

 

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